Python の環境構築にはいくつか方法がありますが、今回は pyenv + venv による Python の環境構築方法について説明します。
動作確認環境:Windows 10
Python がすでにインストールされていることが前提です。まだインストールされていない場合は、以下記事を参照してください。
はじめに
pyenv とは Python のバージョンを切り替えるパッケージです。
Python はバージョンによってできることが変わります。複数で開発する場合や特定のバージョンに固定したい場合などがあるためバージョン管理ツールは導入しておくことを推奨します。
venv は仮想環境を構築するパッケージです。
Python 開発では仮想環境を構築することが基本です。仮想環境を構築することでインストールするパッケージなどをプロジェクトごとに管理することができます。
pyenv のインストール
Windows 用の pyenv をインストールします。インストール方法はいくつかありますが、今回は pip を使った方法で行います。
以下 PyPI の 「Python pip」を参考にします。
https://pypi.org/project/pyenv-win/
コマンドプロンプトなどを起動し以下コマンドを入力します。
pip install pyenv-win --target %USERPROFILE%\\.pyenv
以下フォルダが作成されていることを確認します。C:\Users\[ユーザー名]\.pyenv
環境変数の設定
ユーザーの環境変数に以下を追加します。
※ pyenv をユーザー (%USERPROFILE%) にインストールしているためユーザーの環境変数に設定します。
変数 | 値 |
PYENV | C:\Users\[ユーザー名]\.pyenv\pyenv-win |
PYENV_ROOT | C:\Users\[ユーザー名]\.pyenv\pyenv-win |
PYENV_HOME | C:\Users\[ユーザー名]\.pyenv\pyenv-win |
ユーザーの環境変数の Path に 以下を追加します。
変数 | 値 (追加) |
Path | %PYENV%\bin |
Path | %PYENV%\shims |
Python のインストール時に Python の環境変数を Path に設定している場合、影響する場合があります。
ユーザーの環境変数に設定している場合、削除するか今回設定した pyenv のパスより下に設定してください。
システムの環境変数に設定している場合、削除してください。
環境変数の Path はユーザーよりシステムが優先されます。また、より上に設定されているものが優先になります。
pyenv の shims フォルダに Python が存在するため、もとの Python を環境変数から削除しても Python コマンドは実行可能です。
動作確認
コマンドプロンプトなどを再起動し以下コマンドを入力します。
pyenv --version
バージョンが表示されれば完了です。
pyenv x.y.z
環境変数が正しく設定されていなければメッセージが表示されるので設定を再確認してください。
pyenv を使う
インストール可能なバージョン一覧を表示
pyenv install -l
任意のバージョンをインストール (例:3.8.10)
※少し時間がかかります。
pyenv install 3.8.10
global (デフォルト) のバージョンを設定 (例:3.10.5)
pyenv global 3.10.5
インストール済みのバージョン一覧を表示 (*が現在設定されているバージョン)
pyenv versions
仮想環境構築
任意のフォルダに仮想環境を設定します。
ここではワークスペースを「D:\workspace\test」、バージョン「3.10.5」を例として説明します。
local (ワークスペース) の Python バージョンを設定
cd D:\workspace\test
pyenv local 3.10.5
pyenv versions
「3.10.5」に * がついていれば完了です。
Python コマンドのバージョンお設定したものになっていることを確認します。
Pythopn -V
バージョンが正しくない場合、仮想環境の設定に問題があることが考えられます。設定を再確認してください。
以下コマンドで仮想環境を作成python -m venv 「仮想環境名 (フォルダ名)」
python -m venv .venv
ワークスペースに「.venv」フォルダができていれば完了です。
※ 仮想環境を作り直すためにはフォルダを削除すれば手っ取り早いです。
仮想環境には以下コマンドを入力します。
.venv\Scripts\activate
先頭に(.venv)と表示されれば完了です。
仮想環境の Python バージョンを確認します。
python -V
インストールしたバージョンになっていれば成功です。
これで仮想環境の構築が完了です。
あとは仮想環境に入っている状態で pip などでパッケージをインストールすれば仮想環境内にだけそのパッケージが適用されるようになります。
仮想環境を抜けるには deactivate コマンドを入力します。
deactivate